大学で出された「長寿社会における還暦ギフト」の課題について

大学時代は社会学部にいましたが、その授業の1つで地域社会に関する授業がありました。コミュニティの成り立ちや過疎化や限界集落について授業が行われましたが、大学のレポートで「還暦」をテーマにした課題が出されました。還暦とはそもそもどういう理由で行われたのか、最近ではどのようにお祝いされるのかなど、教授から様々な切り口が提供され、それに基づいてレポートを作成していきました。

還暦は、十干十二支が一回りしたことをお祝いするもので、平均寿命が今みたいに長くない時に長寿の祝いとして行われました。ちなみに30歳では半還暦、120歳では大還暦と言うそうで、調べていて初めて気がつきました。還暦でなぜ赤いものが使われるのかもこの時初めて知りました。元々魔よけの意味で赤ちゃんに赤いものを着させていたため、干支が一回りし、生まれた時に戻るということで赤いものが使われるようになったそうです。還暦にも1つ1つ意味が込められていたんだなと、漠然としか知らなかったので衝撃を覚えました。

調べていて、私がびっくりしたのは日本以外でも還暦を祝う習慣があることです。元々の還暦の起源である中国やお隣の韓国では当たり前だろうと思っていましたが、アメリカやイギリスでもこのような文化はあるようです。アメリカの場合は60年生まれたことを記念してダイヤモンドを送る習慣があります。また、アメリカ、イギリス、オランダなどでは50歳から10年おきに長寿をお祝いするパーティーが行われます。ただ、本当に驚く事はアラブにも還暦を祝う習慣があったことです。考えてみれば、長寿を祝うことに関してはどこの国でも行われているんだなと当時の自分でもすぐにわかりました。

日本は世界の長寿国として、平均寿命のランキングはもちろん、最も長く生きる長寿記録などにも日本人がたびたび取りざたされます。長寿であればあるほど、還暦や古希や喜寿などの年になってもすごいことだとは思えなくなっています。年金受給年齢も上がり、定年が65歳になるところが出てくるなど、1つの区切りであった還暦が区切りでなくなっている現状があります。しかし、60年無事に生きることはそう簡単なことではありません。身体を壊すことなく、ここまで生きてきたということに若い人たちはもっと敬意を持たなければなりません。レポートを書いていて思ったのは、私の祖父母が古希や喜寿、傘寿になっても特にお祝いもしてこなかった自分に対する恥ずかしさです。それだけではありません。地域には多くのお年寄りがいます。そのお年寄りも色んな苦難を乗り越えて、長生きをされています。そのことに関して尊敬の念を持つ機会は果たしてあるのだろうかと考えた時、地域全体でそういう機会を作るべきだと感じました。

最も大切なことは、学生自らで長寿を敬う社会を創ることです。仕事や育児などをしていくと自分の親の苦労や辛さなどが身をもってわかり、感謝をするようになりますが、学生の段階ではお年玉やおこづかいをもらえる存在程度の認識しかない人も大勢います。お年寄りや親世代の年金を支えるのは若い世代と言われていますが、今までの日本を支えてきた人を私たちが支えるのは当然だという意識が希薄となり、被害者意識しか持てずにいて結果的に年金加入率が下がっているのは、常日頃からお年寄りに対する敬意が低いことにあると言えます。学生の時から長寿を敬う社会を創ることは大切なことです。今日の私たちがいるのは、一生懸命働いてきた年配者の皆さんのおかげです。少しでも感謝を表現していくたびに、お年寄りを敬う気持ちを常に持ち、困ったことがあればなんでもやるような気持ちの大切さを、レポートを書いていく上で発見しました。

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    わたしはUAEの大学に通いながら日本語を学んでいる学生です。取り組んでいる研究や課題、レビューなどを掲載しています。
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